すきって
この記事には特典会でのやりとりを含みます。タイトルやこの情報からモヤっとしそうな方はご注意ください。
また、現場に行きたくても行けないひとはもしかしたらウッ……ってなっちゃう内容を含むかもしれません。
大多数に向けたわけではない言葉を含みますので、引っかかっちゃうかもと思う方はご遠慮いただいたほうがご自身のすこやかオタクライフをお邪魔しないかと思います。
すき、って
言えなかったなって後悔はしたくなかった。
あのとき言っておけばなんて思いたくなかった。
直接会って話せることが当たり前じゃない、が何重にも重なるあなたにせっかくあえるのだから、言わなくちゃ、今日。
初めて、推しに面と向かって、直接会って、「だいすき」と言った。
それさえ言えればもう、その日はなんだってよかった。それだけ言いに行った。
それに対して彼は、普段から伝わってる、と言ってくれた。
その上で、「返せてるかな」と口にした。
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『伝わってる』
今年10月・11月、何度かあったドルイベのために東京に行った。
推しはたいそう驚いたようで、その後の特典会で何度もそのことに言及された。
彼が驚くのも無理はないだろう。
私が彼を応援しはじめたのは2020年のことだ。
初めてコミュニケーションをとったのは電話、初めて顔を見せたのはオンライン推しチェキ。
客入れライブが再開されてからも、状況と自身の考えからなかなか足を運ぶことがかなわなかった。彼のセンター曲が観客を前に初めて披露されたあの日も、幕張メッセ公演のあの日も、私は自宅で画面をみていた。
初めてライブを生でみたのは、FCの推しメン登録欄で「フォーゲル」を選んでから1年半近く経った頃だった。
私がライブを配信でばかりみていたのは「配信があるなら配信でいいや」と選択していたからではない。本当は彼の表現をこの目で追いかけて全部受け取りたいと心の底から望みながらも、泣く泣く配信を選んでいただけだ。
現場に足を運ぶようになったのは、いわゆる“モチベ”が高まったからではなく、単に状況と考えの変化の結果だった。
だから私がドルイベにいたことに彼が触れるたびに、いや私はあなたがみせてくれるものなにひとつ見逃したくないの、状況が許す限り足を運ぶのは今の私にとって当然なんだよ、もしかしたら在宅勢が急に遠征勢になったように見えてるかもしれないけど気持ちはずいぶん前から遠征勢なんだよ、そんなに毎回驚くかな? なんて思ってしまっていた。
12月。年内の特典会はあと2日。暮れの元気なご挨拶をするには最終日だけでは時間が足りないと、ご挨拶前半戦のつもりで臨んだ土曜日。
終わりがけに席を立つ私に、彼は滑り込みで「ドルイベにいたのが衝撃だった!」と言った。
いやそれ今年振り返った今言うほど衝撃だったの? そんなに? と、また私は思った。
その翌日、年内最後の特典会。
今日こそ言わなくてはと私が口にしただいすきに対し、彼は、普段から伝わってる、と言った。
リプライや特典会等で私が彼に向けるものからも伝わっているし、それだけでなくライブや特典会に足を運ぶという行動からも伝わっている、と教えてくれた。
特にドルイベについて、感慨深げに思い出すように話してくれた。
「きてくれたっていうのが。めっちゃおもってくれてるんだ、って」
「それだけおもってくれてるんだなっていうのがやっぱさ、行動に出るっていうか、そういうとこでみえるし」
このときまで私は、全然わかっていなかった。彼の言わんとするところを。
単に私といえばオンラインのひとというイメージが抜けないとか居住地の印象が強いとかドルイベという現場にいるのが意外だとかそういう理由で驚いていただけじゃなかったのだと、やっと理解した。
彼は、私の彼に対する気持ちが行動になったものを、また愛に変換しなおして受け取ってくれていたんだ。そのことを何度も伝えてくれていたんだ。
彼は「伝わってる」と言ったけど、これは彼にだいすきが伝わっているというより、彼がだいすきを読み取ってくれている、じゃないか。
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『返せてるかな』
アイドルにファンがすきですって言ったら、アイドルは「えーありがとう(棒)」って返せばもう120点じゃない? 感謝の文言述べられれば万々歳というか。「俺もすき〜(棒)」なんて言い出した日には8億点。
そこを彼は、返せてるかな、って。いやいや、返せてる、とは? 返すという発想、何? その思考、え?
こっちの何かしらを受けて、少なくとも彼がこれ以上返す必要なんてどこにあるんだ。
これは常々思っていることだけど、
彼らの活動のなかには、(おそらく)必ずやらなくてはいけない(と思しき)お仕事、のようなくくりのものがあると思う。グループとしてのライブやその準備、特典会や撮影、何かにサインをするだとか、その他表に出てこない諸々。しらんけど。
そういうものをちゃんとやってくれているという時点でまずお仕事としては十分、という感覚が私にはある。
しかもただやるだけじゃなく、彼はいつも新鮮に魅了してくれる。
例えば歌もダンスもレベルアップしていく姿にはそこに至るまでの努力を感じざるを得ないし、ライブで楽しい!を共有してくれる姿のきらめきといったら他の何物にも代えられない。
そのうえ彼は、その他の活動も活発だ。
彼らを多少なりとも追っている方であればきっと、彼の丁寧な告知や現場後のサンクスツイートにお写真、まめなブログ更新や少なくない頻度の配信を何かしら目にしているのではないだろうか。グループ以外での踊ってみた作品だってコンスタントにアップされるし、最近ではTikTokも投稿してくれるときがあったり、レッスン動画をみられる機会もある。(余談;この文は歳末供給セール前に書いた)
2021年1月9日の朝の配信で彼は、その配信自体を「補填」と表現した。
「最近さあ、今年入ってからまだ動画ちょっと出せてないなあとかさ、夜に放送できてないなあとかがあったから、それの補填」
即座に補填のつもりじゃない、(コーヒータイムの)ついで、と言い直していたけど。(ついでというのは、この配信は見なくちゃいけないものじゃないよ、という気遣いからくる表現だと思う。)
きっと「補填」が外に出す言葉として適当ではないと判断して否定したのだろうけど、私はその言葉に彼の感覚があらわれている気がした。
みているひとに向けてこういうことをこのくらいのペースでしようとか、そういった何かしらの基準や目標、目安のようなものがきっと彼の中にあって、それが満たせなかったらできうる別の方法をとって補填しようとする、そんな姿勢が想像できる。さすが顧客満足度No.1。
(こんなこと言いながらこの日からの3連休は3日とも朝から配信していたし、今年動画出せてないって言うけどまだ9日だし、夜放送できてないとか言うけど夜以外に既に数回放送してくれてるし、どんだけ基準高いんじゃ。さすが顧客以下略。)
彼はこうして、必ずやらなくてはならないことを100%をゆうに超えるレベルでちゃんとがんばって、それらを通してたくさんのものをこちらに発してくれるだけでなく、他の+αも駆使して、こちらにもっともっと、抱えきれないくらい、いろんなものを届けてくれる。
そんなふうに彼が日々やってくれることを受け取ってこっちが勝手にすきになって、そして突然勝手に投げつけた「だいすき」に対して、彼は「返せてるかな」「返したくなっちゃう」と言うのだ。
もうその思考回路も含めて、私は彼から素敵なものをもらいすぎている気がして、どうしたらいいかわからなくて、うまく返事ができなかった。
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そうやって愛を受け取って、返したいと思ってくれて、もしかしたらそれを燃料のひとつにしてまた日々の活動に取り組んでくれて、私もまた彼の発してくれるものをできるだけ受け取ろうとして、そしてまた好きになって、それが言葉になったり次の行動になったりして、そして。
もしかしてこのラリー、終わらないんじゃない?って思えてしまう。
いつまでも続けていたい、なんて願ってしまう。
ああ、私いまきっと夢をみている。
不思議なことに、だいすきって言えれば満足だったはずなのに、言ったらもっと伝えたくなった。
勢いにまかせてただその音を発するだけじゃなくて、もっとちゃんと気持ちをのせたくなった。
ドルイベ、前にいたよね!って言ってくれたとき、なんか前になっちゃいまして、なんて反応しちゃったけど、本当は朝からずっと立ってたなんて知ったら、彼はなんて言うかな。
彼は今年最後に「思ってるより好きやから」と言ってくれたけど、
もしかしたら私だってあなたのこと、「思ってるより好き」だったりして。