怪物さんにとらわれた話
対比に魅せられた。
こんにちは。
フォーゲルさんを応援したいと初めて思ってから季節がみっつほど過ぎた気がします、きよみです。
先日公開された上記の動画。
アップされてから一時間、一周みてはTwitterに感想をつぶやきまた一周してはつぶやき、本家MVが気になってみてみたり本家踊ってみたが気になってみてみたりしながられんげるを何周もして、なぜかそのとき脚立に座っていたんですが、私の記憶では人生で初めて脚立に一時間座っていましたね・・・。
あまりにも何も手につかなくて、いやいったん怪物さんは置いておこう、となんとかみるのをやめたんですが、翌日もその翌日も刺さった槍がどんどん深くまで刺さる刺さる。
もうこれは流れ出る血で書いていると思ってください。ダイイングメッセージか?
※※注※※
ここに書いてるのは全部印象というか、印象から想像したものと言っても過言ではありません。解釈なんて言うのが憚られるレベル。ちょっと作品の感想としては想像多すぎなんだけど大丈夫かな。もし苦手な方いらっしゃったらごめんなさい。これはよくないとかあったら教えてくださいお願いいたします。
表現なのか癖なのかもわからないし、意図的にやっているかどうかもわからないけど、私が見たものを私はこう感じた、というテンションの文がずっと続きます。
あっあと、踊り方なんかはご本人たちの動きそのものから受けた印象を書いてはいるんですが、こういう感情をもってこう動いていそう、みたいな感情の部分についてはこの作品におけるこの人たちは、みたいな意味です。ご本人がどうこうということではありませんのでご理解いただけると幸いです。
私がれんげる怪物さんにどうしてそんなにとらわれたのかというと、この動画のさまざまな対比と、この楽曲の歌詞の構造に対応を見出してしまったからだと思う。勝手に。この時点でもう解釈の域を脱してしまっている気はしています。別にちゃんと考えたわけじゃないし、こじつけのようでもあるんだけど、私の楽しみ方がそうだったんだということで。
撮影しました〜!!!!!!🐊🔥 pic.twitter.com/HfiIxnzcFt
— 綾野れん(DDベイビーズ) (@baroo_min) 2020年10月27日
対比はみんなもうこのお写真から言い始めてたのでわざわざ説明しなくてもという感じではありますが。
19時 pic.twitter.com/xOE8AftClJ
— 綾野れん(DDベイビーズ) (@baroo_min) 2020年10月31日
お衣装(色はもちろん、髪色とのバランスやボタンのあけかたも含めて)も対照的だし、照明だってそう。
踊ってみた本家はもっと色のあるところで撮影されているけれど、こちらはスタジオも床と天井が白で壁が黒。
本家では白い衣装の方はボトムスも白だけど、こちらはおふたりとも黒。白い床に足さばきが映える。
照明も、本家はちょっとピンクっぽいものと黄みがかった緑?のような色で、こちらは赤と緑。
私は本家のほうがより不気味な印象があって、怪物という言葉自体には近いように感じた。妖怪とかそういうものを連想してもおかしくない奇妙さがある色味というか。
れんげるのほうが色の温度感としては無機質ではあるんだけど、そういう妖みたいなイメージはあまり受けない。温度感あるほうが人間味あって無彩色のほうが機械っぽさとかを連想させると思ってたんだけど、今回は人ならざるものの方向性がロボットとかじゃないもんなあ。っていうか『怪物さん feat.あいみょん』って曲名がすごい。怪物さんて。
画的には私はれんげるのほうを美しいと感じます。モノトーンが好きなのもあるけど。
本家MVの画面も色にグラデーションはあるけどのっぺりしていて素材感が少ない。奇妙な空間。
で、何より私はこのお二人の踊りの対比にもうやられてしまったんですよね。
なんと言っても力の入れ方!
同じだけ身体を動かしているのにつかっているエネルギー量が違うように見える。綾野さんはワッって動かしてフォーゲルさんはフッって動かしてるみたいな、それがこの曲に合う〜〜〜!(そこそこ文字数あるブログにしては表現が雑だし美味しいもの食べたときみたいなリアクションで申し訳ない)
まず綾野さんの身体に入る力や視線の強さ。
お顔をこちらに向けているとき、前のある一点を固定でみつめている印象があって、強い意志があるように見える目をしている。何か確信でもあるかのようなニヤッとした表情が1番から見られる。
歌詞はこちらが相手より下というか、相手を追う側の目線だと思うんだけど、綾野さんは下の立場っぽくない強気さがある。ときどき顎が上がるんだけど、視線の先が変わらないからいわゆる上から目線的な角度になるのもその一因のように思う。
(具体的・現実的に解釈するのは野暮だと思うけど)例えばこの歌の主人公がざっくり相手に浮気された立場だと仮定すると、綾野さんは相手に対して怒っているけど手放す気も離れる気もないみたいな感じがする。
そして綾野さんの重みをつかって描く軌道の美しく力強いことと言ったら! これはもう最初から最後までそう。きれいに踊るひとね。
「いっそ いっそ いなくなれ」は、どこかにほんとうに飛ばすよう。
対してフォーゲルさんは力の入っていない目をしている時間が長い。体がカメラのほうにむいていても、視線は落ちている。諦めの割合が高く見える。諦念というか、達観というか。「私」が「あなた」を好きなのも、あなた以外を好きになれたらいいのにと思いながらもどうしようもなく離れられないのも、なんかもう全部わかっているように感じられる。
フォーゲルさんの「いっそ いっそ いなくなれ」は綾野さんほどの勢いがなくてどこかふわりと丸い。これも私には“全部わかっている感”に見える。あなたを好きな私いなくなれって言ってるけど、いなくはなれないこと、あなたを結局好きでいることをわかっているから、飛ばしきれない。
「小石蹴るみたいに嘘ついて とりあえず安心させていて」や「私からは何も聞かない」でフォーゲルさんが前のほうにいるのも、そういう意味でぴったりだと感じたんですよね。うまく言えないけど、どうせ嘘と分かりながらも嘘をついて安心させてくれている間はまだ一緒にいられるからそれで良くて、何か聞いたところで内容もほとんどわかっているし、聞いたって嫌いにはなれないこともわかっている、みたいな。
フォーゲルさんは最初は抑えたような表情をしている時間が長くて、初めて比較的はっきりとした表情をするのは「知らないって 知らないって 笑っていたい」の笑みだけど、その直後のサビ前にはそういう表情は消える。こういうときの表情とかサビ終わりの柔らかい微笑みとか特に、フォーゲルさん自身のパフォーマンス的なものなのか作品の世界を踏まえた表現なのか本家がそうしているからそうしてるのかとか、全然わからない。その中にどういう感情があるのか読み取りきれない。(そもそも本家は私が見る限り物語の中のひとというよりは単に踊っているひとの表情が出ているように思う。フォーゲルさんには作品の世界の感情が乗ってる気がするけど)
でもそういうどこまでがフォーゲルさんなの・・・って思わせるところもめっっっちゃくちゃ魅力。ひかれてしまう。
フォーゲルさん、1番の終わりあたりからだんだん口があいてくるのも、余計な力が入っていない印象を持たせる。綾野さんの口は結ばれているか歌詞通り動いていることが多い気がする。
で、「ピンクのフィルター」は綾野さんにかかると思うんですが、私の見方ではこの作品中の綾野さんは、他のひとと違うって言ってよ、フィルターかけて好きでいてよ、って言いそうな雰囲気があるので、諦めの入っているフォーゲルさんじゃなくて強気さのある綾野さんが「私にピンクのフィルターをうまくかけて見ていてよ」担当なの、解釈一致です。(勝手に書いといて何言ってんだ)
「私からは何も聞かない」の振りは本家とかなり違っていて、フォーゲルさんはこちらを向いて歌詞をはっきり口にするし、表情も余裕がある。聞かないことをそんなふうに意思表示するの、たしかに嘘も呑み込みそう。そしてこのあたりから温度感のある表情が増える。
「知らないって 知らないって 踊っていたい」のフォーゲルさんのテイストかなり際立っていると思うんですけど、このわざと踊らされてあげている感が明確なの、フォーゲルさんが他の場面でここまでポップにしていないからだと思う。綾野さんはここに限らず楽しげにみえるところが多いのでここが特別とまではいかないというか。
サビの「いっそ いっそ いなくなれ」も2番のほうが少し口角があがって目を細めている気がする。だんだん体温が上がっていく印象。(のちにアップされた定点バージョンではカットが長かったり違う映像だったりしてこれはこれでまた違う印象だったんだけどそれも入れると大変なことになるので置いておきますが私はかなり好きです)
ラスサビ?の、「でも本当は」から始まる、二人が並んで前に歩いてくるところ、綾野さんはけっこういろんな表情をしていてどこを見るにしても意図があって、言うてもこの恋愛を楽しんでいそうな感じがする。フォーゲルさんはもう本当に虚空をみている。(…んだけど、一瞬こっちがギャッってなるニヤッっとした表情するんだよな急に。あれは曲の世界のひとというよりフォーゲルさんなんじゃないか。)(ここの一連の表情まじで定点バージョン全然違うのでみてください)
いやほんとすごい差じゃない?
この曲は「でも本当は」と始まるサビで「いなくなれ」と言っているものの、最後の最後「あなたがいない私なんて、本当は考えられないの」と本当の本当のところを口にして終わる。
フォーゲルさんの諦めを帯びつつもだんだん熱を持っていく表現がこの最後の最後に本音が出るのにぴったりで。
フォーゲルさん自身の踊っていてノッてくる感じと曲の展開や振り付けがあいまって、どこかふっきれていくというか、諦めの方向が「どうせそうなんだよ…どうしようもない……」だったのが「どうせそうなんだよ、どうしようもないんだよなあ!」みたいになっていくというか。下向いて諦めてたのが上向いた諦めになる感じ。(いやニュアンスすぎる)
この曲の特徴のひとつに歌詞の言い回しが挙げられると思います。この世のいろんな歌がざっくり言えばあなたが好きみたいなことをいろんな方法で歌ってるわけですが、この曲は「あなたを好きな私」、「あなたじゃなきゃ絶対嫌な」私、「わずかな期待止められない」私、いろいろ言うけど結局「どっか向いててもそばにいて」「あなたのままで優しくして」と願ってしまい「とにかく今日も会いたくなる」私を「いなくなれ」や「消えてしまえ」と表現して、いっそいなくなってくれと願うほどあなたが好きで苦しいと言っていると私は思っています。
そういうふうに言葉自体と内容が裏腹で反語的だったり、歌声が男声と女声だったり、MVのモチーフがだるまさんが転んだ(相手がこちらを向いているときにはこちらから相手にアプローチすることができなくて、近づいて、触れて、振り向かれたら離れる)だったりする、そういう曲の構造と今回の踊ってみたのいろんな対比に、大枠の構造がまず正解じゃんって思っちゃったんですよね。なんも考えてないけど、この言い回しにこの対比よ!ぐらいの感覚で。
フォーゲルさんのほうが体の力の流し方が自然なのかなあ。ダンスなんもわからんけど。
綾野さんのほうがここからここに動かして、こっちに動いて、ここはこう、みたいなのが強くて、フォーゲルさんは勝手にそう動いてるみたいな感じがする。自分のなかからわきあがるものに突き動かされているみたいで、それが重力と同じぐらい自然にはたらくもののように見える。(ひとの振り付けを頑張って覚えて踊っているはずなんだけど。)(なぎげるペアライブのときになぎちゃんさんが自分は移動のときとか抜けちゃいがちで〜って話してたけどそういうのの一環というか、綾野さんはやっぱりこっちからこう動いてみたいな移動感がある気がするんだけど、フォーゲルさんはなんか思いのままに動いてたらそうなったように見える)
カッコが長くなったけど、要するに、綾野さんは意志を持って身体を動かしているように見えるから、それが意志を持っているようにも見えて、それに対してフォーゲルさんは中から動かされているように見えるうえに流れに身を任せているようにも見えるから、気持ちが揺れ動いているように感じられる。
あとフォーゲルさんは必要なときに必要なだけ力を入れてそれ以外の余計な力は入っていないように見える。余談ではあるけど、同じく10月にアップされたDynamiteでも、2:48あたりですっごく力を抜いて踊っていることがよくわかる。好き。Dynamiteに関してはコメント欄をみていても(フォーゲルさんに限らず)抜くとか上手なゆるさみたいなのが評価されている様子。わかる。
でも「知らないって 知らないって」とかのBメロ?では実は綾野さんはそんなにバキバキしてはなくて、ここについてはフォーゲルさんのほうがここ、ここ、ってポイントで止めてるんだよな。いやぁ。
それから! 絶対に目をひく服の動き!
踊り方とお衣装自体の色によるものが大きいとは思うけど、それぞれの服の動き(の見え方)まで素晴らしいと何度見ても思う。
綾野さんは服の布までぱりっとして見える強気さがあって、フォーゲルさんの服はふわりと動いたり腕ですくいとられたりしている。ファッションモデルさんはランウェイでスカートをふわりとみせる動きを練習するって子供の頃きいたことがあるんだけど、きっとそういうふうに綾野さんフォーゲルさんそれぞれああいうふうに布が動くような身体の動きをしてるんだよなと思う。意図の範囲外でも身体の動きが違えば布の動きも変わるのは当然だと思うので。
(しかしお衣装まじでサイコーじゃない? ため息がでるほどセクシー。はあ。アッため息ついて幸せ逃げたら嫌なので吸います。スゥゥ)
あとはもう余談も余談なんですけど「いっそ いっそ いなくなれ」という歌詞、『ツギハギスタッカート』にも出てくることに気づいたときはうわあっ・・・!ってなりましたね。 「君よ いっそいっそ いなくなれ」なので、「いなくなれ」の対象は違いますが、いなくなれと願ってしまうほど苦しい好きを抱えているのは同じじゃないですか……。
フォさんはスウィートタイムからツギハギをつなげてましたがそれやりはじめると大変なことになるしもう本格的に想像でしかなくなるので終わります。
こんなよくわからん文章を読んでくださった方いらっしゃいましたらありがとうございました。私が何にとらわれていたかを世に公開したばかりに……。
最後にもう一度リンク貼っとこうかな。あと定点バージョンもまた違うからみて。これタイトルの最後「定点.ver」で投稿されてるのじわる。
それではみなさまどうかお元気で。きよみでした。